いやー、こちらのチームも本番は凄かったです。
金曜のゲネは、やっぱりゲネでしかなかったという感じですね。
とにもかくにも中村祥子。圧倒的なオーラです。
グラン・パ・ド・トロワでは、
ブルーのチュチュの裾のそよぎまで計算されているかの美しさ。
観てるだけで自然と口元がゆるんでしまう。
存在そのものが人を幸せにします。
ますます磨きがかかってきました。女王の貫録。
その中村をさらにさらに美しく見せるキャシディのパートナーリング。
片手で高速に回すところなんざ、もう職人技です。
池本アリも、ゲネよりずいぶんアリらしくなりました。
ジャンプの大きさや浮遊感は誰にも負けませんね。
こうなると、やはり身長がないことがなおのこと残念ですが。
宮尾チームより断然光っていたのが
第1~第3バリエーション。
宮尾チームの新居田ゆり、戸田梨紗子、小林美奈も悪くはなかったけれど、
純粋なバレエをすっと踊ってしまった感じだった。
一人一人が自分のよさをしっかりアピールして
「この人、素敵なバレリーナだな」と思わせる踊りができたのは、
井上とも美、佐々部佳代、中村春奈。
笑顔が輝いていました。
やっぱり経験がモノをいいますね。
2チームを見比べてみると、
やはり宮尾チームは演劇的にどこまでも突っ走った分、
濃い印象でした。
パシャが物乞いに金の袋を放るところでも、
宮尾チームは素直にキャッチするのではなく、
隣りの物乞いがしゃしゃり出て横取りするとか、小芝居まで入れ込んで、
躍動感がありました。
伊坂ランケデムも悪くはなかったけど、
悪人「ぶって」はいたけど、けっこうあっさりしているところがあって、
そのあたりが比べてしまうと物足りなかったかも。
でも、ムチの音はすごーくうまく鳴らしていました!
とはいえ、
どちらの組もオリジナリティがあって素敵。
白石/宮尾チームが人物造形とチームワークで一世一代の舞台を務めたと思えば
中村/キャシディチームは超一流のダンサーの底力で支配する。
こうでなくちゃ。
このワクワク感。
これこそ、Kバレエの真骨頂です!
以前の「海賊」のレビューを読み返してみて、思った。
初演に勝る「海賊」なし、とおもっていたけれど、
ようやく、ようやく、初演に勝るとも劣らない「海賊」を観ました。
それも、熊川哲也という天才ダンサーを抜きにして。
熊川のDNAは、Kバレエのすべてのダンサーに受け継がれている。
そう思えた、オーチャードホールでした。
熊川さんの偉業を、今静かに噛みしめています。
3年前に募った危機感を、見事に払拭してくれた若手たちに、乾杯!
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2015年 9月 07日
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